先日、ある出版社の集計結果がありました。「実用日本語語彙力検」を受験者した
小学生、中学生、高校生、その他13704人を対象者とした「第6回ことばに関する
アンケート」の調査結果でした。その中に「あなたはきれいな言葉づかいで話したいと思
いますか?」という質問項目がありました。
「はい:「47.5%」
「いいえ:4%」
「わからない:34.9%」
という結果になったそうです。
  日本語はもともと世界でも美しい言語と言われています。微妙な違いを巧みに表現を
します。例えば「あか」という色を表すのにも「赤」、「紅」、「朱」、「茜」……。いつの
間にか日本人が忘れかけている感覚ではないでしょうか。
 最近の子ども達の会話を聞いていると「えっ」と思わされる場面によく出会います。
語彙が不足しているために、「うざい」など単に一言ですましてしまうことが多く見られ
ます。「言葉の荒れは、心の荒れ」であり、それは行動面にもつながっててくると思いま
す。語彙が増えれば、自分の気持ちをより細かく表すことができ、豊かな心が育まれると
思います。
 それでは、語彙を増やすにはどうすればよいのでしょうか。読書をするのもよいでしょ
う。辞書を引くのも一つの方法です。辞書を食卓の近くに置いておく。テレビを見ながら
新聞を読みながら分からない言葉が出てきたら、すぐに辞書で調べるといいと思います。
電子辞書は簡単に調べられますが、その単語だけです。手間はかかりますが辞書を引くこ
とで他の言葉を調べることにもつながり、多くの言葉とふれることができます。
少し前にサザンオールスターズが歌った「つなみ」の歌詞の中に「清(すが)しい」と
いう言葉があり、初めて聞いたときに何か心の中がすっきりした思いをしたことを覚えて
います。そんな言葉と出会ったときにノートに書いておくのもいいと思います。
さらに、このアンケートでは「きれいな言葉づかいを身につけるためにはどうしたらい
いと思いますか?」という質問をしています。その結果、
「はい: 47.5%」
「いいえ:4%」
「わからない:34.9%」
という項目が上位を占めました。
特に、「きれいな日本語をたくさん聞く」「年上の人と話をする」という回答が多かっ
たことが注目されます。子ども達と話す大人がまずは美しい日本語で話すことが必要とな
ります。時には厳しい言葉も必要でしょうが、今回の指導要領の中でも「ていねいな言葉
づかい、正しい言葉づかい」が教師に求められています。社会の規範意識の低下が叫ばれ
てから久しくなりますが、先ずは、日常の何気ない会話から始めてみたいと思います。