神奈川県教育研究所連盟とは、神奈川県内の教育研究所などが連携して、調査研究等の進展を図っている組織です。
(神奈川県教育研究所連盟HP)

県内の教育研究所が研究成果を持ち寄って、年に一度研究発表大会を開いています。

今年度は、横浜市教育センターが担当です。

10月19日(金) <「生きる力」を育む神奈川の教育>を大会テーマに、横浜市西公会堂、横浜市教育委員会事務局花咲研修室を会場に行われました。

藤沢市教育文化センターからは、昨年度研究報告書や紀要を発行した

◇国語科研究部会

◇外国語活動・英語科研究部会

◇教育実践臨床研究部会

より、3つの研究部会が研究の成果を発表しました。


<全体会・記念講演>

テーマ「『社会に開かれた教育課程』の下でのカリキュラム・マネジメント」
   ◇基調提案 横浜市教育センター
   ◇パネリスト 地域の方/企業の方/学校長
   ◇コーディネーター 横浜市教育センター

  

 未来社会を担う子どもたちの資質能力を育むためにをテーマに、小・中学校の取組、地域社会よる学びのコーディネートについて、それぞれの立場から話をいただき、現状と課題について意見交換しました。これからの地域と学校の姿を展望できる有意義なディスカッションとなりました。


<第1分科会>

国語科研究部会より

発表テーマ:伝え合う力を育む「話す・聞く」の授業     

      ~「個」の力の育成を目指す小中9年間の系統性~

発表者: 五十嵐 春香(湘南台中)  髙尾 裕也(浜見小)

  

  国語科研究部会では、“社会につながる力”の育成を念頭に、小中9年間の学習の連続性、系統性に着目し、学習の方法知を育むための授業研究を行ってきました。また、「話すこと・聞くこと」に焦点を当て、研究授業の視点に位置づけるとともに、「身につけさせたい力」と「言語活動例」について小中9年間の系統表を作成し、子どもが見通しをもって学習に取り組めるように努めてきました。

 ここでは小学校・中学校の具体的な授業実践提案ならびに研究の成果と課題について報告がなされました。参加者からは「話すこと・聞くこと」領域に特化した授業の工夫などについての質問がありましたが、丁寧な受け答えで理解を得ることができました。提案内容には、多くの関心や共感を得ることができました。


<第3分科会>

外国語活動・英語科科研究部会より

発表テーマ:言葉の力を高める授業づくり

      ~思いを伝え合う活動を通して~

発表者: 小林 礼子(高谷小)  原子 文子(高谷小)

   

   

 本研究部会では、学習指導要領の改訂に伴う小学校での英語科の完全実施に向けて、中学校でも小学校での学びを生かしていく指導の連携を重視し「言葉の力を高める授業づくり」をテーマに研究を重ねてきました。授業研究では、小・中学校ともに暗記練習をさせたり、台詞のように一方的に知識を伝授して英語を覚えさせたりする授業ではなく、自らの思いを伝え合ったり、既習の文法が生きる体験的な学習場面の設定をめざしました。そして、これらの中で自らの思いを伝え合うことを通して、言葉の力を高められるように授業実践を重ねてきました。
 分科会では、3年間の研究で積み重ねてきた内容について、小・中学校での研究授業の映像をもとに具体的に振り返るとともに、研究から得られた成果と見えてきた課題を報告しました。他地区の研究機関からも、小・中学校の連携を視点にした発表がなされ、分科会での共通の課題となり、協議においてもさまざまな意見が交わされました。


<第10分科会>

教育実践臨床研究部会より

発表テーマ:子どもの事実に学ぶ

      ~教育実践臨床研究の経験を通して~

発表者:山本 泰輔(羽鳥小) 藤本 一郎(俣野小)

  

  

 教育実践臨床研究部会では、「見えることからの授業の再構築」を研究テーマに掲げ、研究員各自が、日々の子どもとのかかわりの中から自分のねがいを明確にし、実施した授業の振り返り(授業リフレクション)をとおして、授業改善の手がかりを自分自身の授業の中から得ていくという研究を長期にわたって行っています。
 今回の発表では、2018年3月発刊の研究紀要『子どもの事実に学ぶ~授業における経験の意味~』より、小学校1年算数科「みんなで考える算数のおもしろさへ」と、6年国語科「登場人物に寄り添って自分の思いを巡らせよう」の実践を取り上げ、授業者が子どもの事実に学び、授業の再構築を繰り返すことで、子どもとともに成長していく過程を詳しく紹介しました。子どもの事実と向き合う辛さ・楽しさも含めて、経験に裏打ちされた授業者2人のプレゼンはとても説得力があり、協議の中では一般的な授業研究と臨床的アプローチの違いや、授業の振り返りの大切さが話題になるなど、多くの参加者の共感を得ることができました。