令和3年度 算数・数学科研究部会 活動記録
第12回 算数・数学科研究部会
日 時:2022年3月16日(水)午後3時30分から
場 所:教育文化センター 小会議室
内 容:小林研究員授業研究協議
小川研究員授業研究振り返り
年度末振り返り
小林研究員研究授業振り返り
単元名:二等辺三角形、正三角形などの図形(小3) 『三角形を調べよう』
小林研究員は「児童たちが、身の回りにある三角形や三角形に見えるものを辺の長さに着目して分類し、三角形の持つ性質が日常の中でどのように役立てられているかを考察する授業」を行いました。児童たちは、最初は『綺麗な三角形』『つぶれた三角形』と三角形全体の形に着目し分類していましたが、次第に『三角形の辺の長さ』に着目し、『2つの辺が等しい三角形』『3つの辺が等しい三角形』と分類をはじめました。そして「何で2辺が等しくなっているの?」「何で3辺が等しくなっているの?」と三角形の特徴が生活の中でどう生かされているか楽しそうに考えていました。
講師の池田先生から、「はじめに『二等辺三角形』『正三角形』という知識を与えるのではなく、児童が三角形の構成要素に着目して分類し図形の特徴が日常生活にどう生かされているか考えることを通して『二等辺三角形』『正三角形』という知識を得るという見方・考え方を育てる授業が展開できていた。」と講評をいただきました。
今後も2つの世界(具体の世界と抽象の世界)を行き来する授業づくりを考えていきたいと思います。このような学習を通して具体的な世界と抽象的な世界とが結びつき、算数・数学が自分たちの生活に役立っていることに気付いたり算数・数学のよさを感じたりして欲しいと思っています。
第10回 算数・数学科研究部会
日 時:2022年1月20日(木)午後3時30分から
場 所:教育文化センター 小会議室
内 容:小川研究員授業研究セミナー振り返り
小林研究員授業研究セミナー指導案検討
小川研究員研究授業振り返り
単元名:4章 平行線と合同(中2)
「4本の筒を正方形に積み上げた場合と少しずらして平行四辺形に積み上げた場合とでは、一周かけたりぼんの長さはどうなるのか?」根拠をもって説明することを目的とした授業でした。後日、更に計算式で示したり図式化してくる生徒がいたと授業者の小川研究員からの報告に、具体から数学化し、考える活動のよさを皆で再確認しました。授業の中で、「面積が違うから周の長さは等しくないのではないか?」と疑問をもつ生徒がいたことに対し、講師の池田先生から「生徒主体の活動を大切にする視点からも疑問の価値付けをし、生徒の問いに沿ったカリキュラムマネジメントを仕掛けていけるとよい。」というアドバイスをいただきました。
小林研究員授業研究セミナー指導案検討
単元名:三角形を調べよう(小3)
身の周りにある三角形の物、三角形に見える物が「なぜその形なのか?」という見方・考え方をきっかけに、三角形を構成する辺に着目させ、三角形の辺(算数の世界)と物の世界(日常の世界)を往復しながら図形の概念を豊かにしていきたいと思い、授業を組み立てました。児童たちが二等辺三角形や正三角形の定義を学ぶことに終わらず算数への学びに意欲的になるよう願い、指導案検討を行いました。
第9回 算数・数学科研究部会
日 時:2021年12月1日(水)午後1時10分から
場 所:藤沢市立御所見中学校
内 容:算数・数学科授業研究セミナーⅡ
・小川直美研究員研究授業並びに研究協議
・研究部会
小川研究員研究授業
単元名: 中学校2年 4章 平行線と合同 “りぼんは何㎝必要かな?”
小川研究員は「4本の筒をどう並べてりぼんをかければ、りぼんの長さは短くて済むか?」と問い、なぜこの置き方でりぼんの長さが短くなるといえるのか、図や文字式を使って説明する授業を行いました。生徒たちは、4人グループに分かれ、用意された4本の筒に実際にりぼんをかけ、りぼんの長さが最短になる筒の置き方を調べました。「安定した置き方に並べた筒を、りぼんでギュッと縛る。」という条件が加わり、生徒たちは断面が正方形の形になるよう筒を置きりぼんをかけました。りぼんをギュッと縛ったら断面がひし形に変わったグループがありました。“正方形に並べる場合 ” と “ひし形に並べる場合"ではどちらがりぼんは短いのか?、同じなのか?生徒たちは実物のりぼんで比べるだけでなく図に描いて考えました。
研究協議会では、次のような感想・意見がありました。
・操作活動の重要性を実感した。“縛る”という操作体験から「積み上げて、固定して、縛る」という条件の必要性が出てくる。 操作の時間があったため、筒を正方形に置いてギュッと縛ったらひし形に変わったことを体験し、「どっちの方が短いのだろうか?」「同じかな?」と自ら問いをもつことができた。
・「現実の世界で考えたものをまず数学の世界へもっていき、また現実の世界にもどし思考を深める。」すごく良いと思う。生徒自らに問いをもたせ考えさせることで現実の世界に深みをもたせることができる。
講師の池田先生から次のような講評がありました。
・日常の問題を解決するスタイルの一つとして数学で解決するには、数学化させる活動(理想化・単純化)を生徒の中にイメージ化させていくことが大切である。そのためには教師が数学化させる活動を見せることが必要であり、今回は教師側から “円柱を安定した置き方に” と条件を示したり、 “円柱4本を積み上げた状態の平面図”の提示があり、良かった。
・度々出てくる既習内容は必要なら今回のようにその都度皆で復習し、生徒に “色々なところで使える基礎・基本の知識” と思ってもらいたい。
・長さを計算で求めたり文字式で表すことに拘らず、平面図を見比べて同じ部分を相殺し、残った部分を比較して考えるという “見比べて考える方法” へ進めていけると良かった。
【リモート参加者より感想】
・数学の世界から現実の世界へ移り、思考を深めることの効果は強力だと再確認できました。生徒にどういった力を身につけさせたいか、そのためのプロセス、カリキュラムマネジメントをより意識して、授業計画していきたいです。
・具体物を用いて考えることで生徒の興味を引くだけでなく、数学を身近なものに置き換えることができる授業でとても参考になりました。
・身近にあるものから “なぜ?” をたくさん見いだすことができていて、素晴らしい授業でした。生徒の発表について、もっとどのようにすれば深みが出るのか研究していきたいと強く感じました。
第8回 算数・数学科研究部会
日 時:2021年11月4日(木)午後3時30分から
場 所:教育文化センター 小会議室
内 容:八森祐樹研究員授業研究セミナー振り返り
小川直美研究員授業研究セミナー指導案検討
八森祐樹研究員授業研究セミナー振り返り
八森研究員から提出された授業研究セミナーⅠ振り返りの資料をもとに、研究テーマに基づいた授業の有効性について話し合いました。
・“運動会に使う旗をつくる”という現実と結びついた教材から、児童は “78枚のおりがみを余らないように分ける” という目的意識をもつことができ、主体的に課題解決に取り組んでいました。
・“78÷3をどう計算したらよいのか?” 筆算計算の方法をまだ学んでいない児童たちは、“余りなく分ける” という観点から考え、解決方法を見つけることができました。
「日常と結びついた教材だと児童は主体的に学習に取り組めること」「数の世界で分からなかったら具体的な世界に戻って考えることが解法へ向かう一歩になること」を皆で再確認することができました。そして、現実の世界と数の世界との行き来が大切なことを、講師の池田先生からもアドバイスいただきました。
小川研究員授業研究セミナー指導案検討
単元:4章 平行線と合同 (中学2年)
小川研究員は、生徒が根拠をきちんと示した上で筋道を立てて説明することを本時の目標に授業を考えました。筒状のケース4本をセットにしてりぼんでくるむ場合、どう積み重ねた時がりぼんの長さは短いか?という課題をつくりました。生徒が主体的に取り組み、学び合う授業づくりをめざしています。
第7回 算数・数学科研究部会
日 時:2021年10月14日(火)午後1時40分から
場 所:藤沢市立高砂小学校
内 容:算数・数学科授業研究セミナーⅠ
・八森祐樹研究員研究授業並びに研究協議
・研究部会
八森研究員研究授業
単元名: 小学校3年:大きい数のわり算・分数とわり算 “78は3でわりきれる?”
八森研究員は、児童が主体的に学ぶためには児童が学習内容を日常に生かしたいと感じることが必要と考え、運動会の旗づくりに関連づけて学習内容が理解できるよう授業を組み立てました。
「青色のおりがみを3クラスに分けたいんだけど・・・」「先生 何枚あるの?」「青色のおりがみを数えたい!」と授業が流れていきました。児童達は黒板に貼られた10枚の束7つと8枚を眺め、「78÷3」「割れるけど余りが出る!」「余りをどう分けるの?」「先生 もう少し考えたい!」「割り切れそう!」児童達は考えを進めていきました。その後解決策として、『10の束1つと2枚の余りを更に分けて解決する』と『78を3で割れる2つの数に分けて解決する』2つの考えのパターンが、児童から発表されました。
研究協議会では、研究員から「割り切れない余りをどうするか、児童同士で話をつないでいた。」「分からないことを共有して伝わるように説明していた。」など感想が述べられました。講師の池田先生からは、以下の点についての講評がありました。
・日常を意識した課題設定のよさ
・解決の場面でノートをめくり、既習を生かそうとする姿が多く見られたこと
・自分の学習として何が分かって何が分からないかの振り返りが日々なされることで深い理解につながっていること
【リモート参加者より】 ・算数・数学の学習は、生活の中の問題を解ける子供を育成することを目標として、「分からない」が出てきた時に、自分自身で数値 や量感を正しく決めることができるようにする必要があることを学びました。そのために日々の授業で教師が数値や量感、そして日常の生活を意識していく必要があるとあらためて確認することができました。
・八森先生の授業では、めざす子供の姿の1つにあった「子供の言葉でつながる学び合いの姿」が実現されていて、感動しました。池田先生の日常につなげる量感を感じることや、直感が大事であることを授業で意識していきたいと思いました。
第6回 算数・数学科研究部会
日 時:2021年9月14日(火)午後2時から
場 所:教育文化センター 大会議室
内 容:・丸山智則研究員部内授業・研究協議
・八森祐樹研究員授業研究セミナー指導案検討
・第1回授業研究セミナーに向けて
丸山研究員部内授業
単元名:中学校1年 第3章方程式 『比例の式』
『藤沢駅から八ヶ岳体験教室のある野辺山駅までの距離はどれ位?』『ドラえもんの各登場人物の身長は?』といった身近な課題を比例の考えを使い解決する授業を行いました。野辺山駅までの距離を求める課題では、縮尺100万分の1の地図を使い、比例式で求めることが条件でしたが、生徒が「比例式が使えるかな」「比例式をどう使うと簡単になるかな」など、解決方法について考える時間をもっと与えてもよかったのではないかという意見がでました。
ドラえもんの各登場人物が横並びに並んでいる絵から各登場人物の身長を求める課題で、生徒は、絵で見た印象と実際に求めた身長とのギャップに自分の計算を疑うような場面もあり、夢中で取り組む姿がありました。題材のおもしろさが生徒の意欲を生み、考えを発展させることができることが分かりました。
八森祐樹研究員授業研究セミナー指導案検討
単元名:小学校3年 大きい数のわり算・分数とわり算
八森研究員は、児童が主体的に学習するためには、児童に「学習内容を日常生活に生かしたい」と思わせる必要があると考え、モヤモヤする場面、既習事項を生かして解決する場面を入れた授業案を作りました。講師の池田先生からは、「数だけ見ていても分からない。モヤモヤに遭遇し、絵や図など具体的な解決方法で思考を深めることが大切。」とアドバイスをいただきました。
第5回 算数・数学科研究部会
日 時:2021年8月4日(水)午前9時から
場 所:教育文化センター 中会議室
内 容:・研究の方向性について
・第1回授業研究セミナーに向けて
・八森研究員指導案検討
・丸山研究員指導案検討
研究の方向性について
互いの授業を見合い、話し合いを通して見えてきたいくつかの課題を整理し、研究の柱・テーマを考えました。今回は元研究員の池田先生にも参加していただき、これまでの流れからの方向を探りました。講師の池田敏和先生からのヒントやアドバイスを生かしながら丁寧に話合いを進めたことで、研究員の考えをひとつにまとめることができました。「主体的に学習に取り組んでほしい。」「日常(具体的事象)と結びつけ、考えを深めてほしい。」という思いを込めて、現時点での研究の柱・テーマを設定しました。
研究テーマ 『日常を意識し、思考が深まる授業 ~モヤモヤをプロセスとして~』(仮)
授業を通して、このような子供の姿を育てていけるよう、更に授業研究を深めていきたいと思います。
第4回 算数・数学科研究部会
日 時:2021年7月9日(金)午後1時40分から
場 所:藤沢市立辻堂小学校
内 容:・蓮見瑠衣研究員部内授業
・丸山智則研究員部内授業指導案検討
蓮見研究員部内授業
単元名:角の大きさの表し方を調べよう
三角定規を組み合わせて様々な角度をつくる授業を行いました。傾いた3匹の子豚の家の絵から興味を誘い、子供達が三角定規で作った角度を2例ほど発表した後に、「今日は三角定規を使ってつくることのできる角度を他にも見つけましょう。」と課題提示しました。巧みな導入は、子供のやる気を引き出し、子供達は自分の持っている定規を操作し夢中になって角度を求めていました。発表では、組み合わせた角度を式で表し、どう組み合わせて角度をつくったのか皆で共有できるようにしました。
部内授業後に行われた研究協議では、「『15°のように小さい角があること』『引き算の考え方』にあまり目が向いて無かったのはなぜか。」が話題になりました。「黒板での子どもの2例が足す方向だったので、足し算するイメージが強化されたのではないか。」「隣の人と協力して三角定規を増やしていいよという条件の追加から、足し算の考えに発展したのではないか。」など意見が出ました。講師の池田先生から「条件付けをする資質・能力を育てたい。」とお話をいただきました。
第3回算数・数学科研究部会
日 時:2021年6月23日(水)午後1時35分から
場 所:藤沢市立御所見中学校
内 容:・小川直美研究員部内授業
・蓮見瑠衣研究員部内授業指導案検討
小川研究員部内授業
単元名:連立方程式(中学2年)
連立方程式の学習のまとめとして問題づくりに取り組みました。まず、生徒たちは指定された2元1次方程式から、
現実に即した問題文を作り発表しました。次に、答えを絞り込むための式と条件に見合った問題文作りを行いました。
生徒たちは、条件の絞り方や指定された式との整合性などを考えながら、粘り強く取り組んでいました。
グループで話し合う中で、『先に答えを1組に決めたら良い』ことに気づくことができ、次時へとつなげることが
できました。
講師の池田先生からは、「問題を解いたあとにのこる『面白かった』『粘ったらできた』というような情意に影響を
与える授業をして、深い学びにつなげるとよい。達成感を感じられるカリキュラムマネジメントを考えてほしい。」と
アドバイスをいただきました。
蓮見研究員部内授業指導案検討
単元名:角の大きさの表し方を調べよう(小学4年)
三角定規を使ってできる角度を調べる課題です。教師が問題提示するのではなく、「三角定規を使って足したり引い
たりすると、もっと角度が作れるよ。」と子供たちから問題発見できるような導入づくりや、読み合う活動について、
講師の池田先生よりアドバイスをいただきました。
第2回算数・数学科研究部会
日 時:2021年5月20日(木)午後3時30分から
場 所:教育文化センター 小会議室
内 容:・年間計画について
・研究テーマについて
・部内授業指導案検討
算数・数学研究部会は、今年度も横浜国立大学教授 池田敏和先生を講師にお迎えし、ご指導、ご助言をいただきながら研究を進めていきます。研究2年目となる本年度は、授業研究セミナーを開催し、テーマに沿った授業実践研究を本格的に行っていくことになります。そのため5月の部会では、テーマに向けた思いを出し合いました。「学びを生活に結びつけたい」「既習事項とつなげたい」「小学校と中学校の学習を円滑に接続させたい」など、「つなぐ」ことを意識していることが確認できました。
また、6月に行う部内の授業研究に向けた指導案検討を行いました。連立方程式を使って解く問題を作成する場面で、「生徒がどのように思考するのか」「問題を作成することで何をねらうか」など熱心な話し合いがなされました。
第1回算数・数学科研究部会
日 時:2021年4月15日(木)午後4時20分から
場 所:教育文化センター 研究室A
内 容:・今年度の研究の進め方について
・研究の方向性について
午後3時30分より教育文化センター大会議室にて、令和3年度藤沢市教育文化センター研究員全体会が行われ、センターの研究についてや研究部会に参加するにあたっての話を聞きました。その後、各研究部会に分かれ、研究部会を行いました。
算数・数学科部会では、新しく2名の研究員を迎え、研究2年目の今年度は、研究テーマを設定するとともに、3回の授業研究セミナーを行い、よりよい授業を目指して授業研究を進めていきます。本日は、昨年度の研究を振り返り、今後の研究の方向性を探りました。