令和元年度 教育実践臨床研究部会 活動報告
第11回部会
日 時:2020年2月18日(火)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:・深澤研究員による授業リフレクションの体験学習について
・江原研究員の3学期の取り組みに向けて、単元計画・指導案検討
・飯島研究員のセミナー後の経過報告
この日の部会では、それぞれの研究員の経過報告とこれからの取り組みに向けての検討を行いました。研究員OBも参加して、授業の様子や、研究員のねがいについて話し合ったことで、実現したい授業の方向を明確にすることができました。
第10回部会
日 時:2020年1月28日(火)
場 所:村岡小学校
内 容:教育実践臨床研修講座 授業研究セミナー
できた! わかった!! 算数ってたのしいな!!!(小学校1年算数科:おおきいかず)
授業者:飯島 大輔 研究員
講 師:慶應義塾大学教授 鹿毛 雅治 氏
飯島研究員は、「子どもが自分の考えをもち、かかわり合いや認め合いを通して、達成感を味わう」というねがいのもと、子どもたちが「できた!」「わかった!」を実感できるような「楽しい授業」を追究してきました。本時は、「かずのひょうのきまりをみつけよう」ということで、1~100までの数字が並んだ表から、子どもたちが思い思いに決まりをみつけ、友だちとの交流を通して数の規則性や構成の理解を深めていきました。
この日は、会場をお借りした村岡小学校の校内研究の一環として大勢の職員の皆さんも参加して、授業後の集団による授業リフレクションを行いました。最初に授業者の飯島研究員より語られた授業の印象は、「考えの共有はできていた。だけど…」というものでした。今日は参観者が多かったこともあり、子どもたちがいつもより静かで、もっといろいろな子の意見を聞きたいと感じていたことが、この印象につながったそうです。その後は授業者と参観者に経験された「授業の事実」を出し合い、問題に取り組む個々の児童の様子や、発表の場面での意見交換・つぶやきなど、子どもの姿を丁寧に確かめていきました。参加した先生方からは、「子どもの姿から意見を交換し合いながら、授業に対しての深まりが感じられました」「本校の校内研にとって、とても良い刺激になった」「臨床の考え方や方法を実際に学ぶ良い機会になった」などの感想を聞くこともでき、教育実践臨床研究部会の取り組みを多くの先生方に知っていただく機会にもなりました。
第9回部会
日 時:2020年1月7日(火)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:飯島研究員の授業研究セミナーに向けての指導案検討
この日の部会では、1月28日に小学校1年算数科で授業研究セミナーを予定している飯島研究員の指導案検討を行いました。
「おおきいかず」の単元では、算数が得意な子も、苦手な子も、みんなが「できた!」「わかった!」を味わえるような楽しい授業は、どうしたら実践できるのか。この日は特に、教材研究や教授方略の検討が中心になりました。
第8回部会
日 時:12月25日(水)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:・諸星研究員のセミナー後の経過報告、単元(中3数学:関数)の総括
・江原研究員のセミナー後の経過報告、単元(小6社会:戦争と人々の暮らし)の総括、3学期に向けて
・野村研究員のセミナー後の経過報告、単元(小6算数:速さの表し方)の総括、3学期に向けて
セミナー後の経過報告については、いつものように各研究員によって詳細に記述された授業の様子をもとに、時間をかけて丁寧に子どもの事実とそこでの授業者の判断や具体的なかかわりを確かめていきました。また、単元の総括では、それぞれが実践を通して得た手応えや気づきが語られました。
深澤研究員は、今までに行った3回のカード構造化法による授業リフレクションの結果、できあがった3つのツリー図を比較し、考察を行いました。これは、毎年行っている新研究員対象の授業リフレクション体験学習の一環で、3つのツリー図を並べて「共通していること/していないこと」を探し出し、関連をみつけることで、自分の授業の今の状態がより明確になっていきます。今回は鷹野先生、佐藤先生、山本先生と、3名の研究員OBがプロンプター(聞き手)として加わってくださいました。
第7回部会
日 時:12月6日(金)
場 所:明治小学校
内 容:教育実践臨床研修講座 授業研究セミナー
もう一歩 解ける? できた! もう1問!(小学校6年算数科:速さの表し方)
授業者:野村 紫苑 研究員
講 師:元藤沢市教育文化センター長 富岡 英道 氏
野村研究員は、「算数の授業を通して、子ども一人ひとりが『解けるかも』『解いてみたい』と糸口を見つけ、問題に向き合い『できた』『もう1問』と解いている姿が見たい」というねがいのもと、授業を行ってきました。本時では、2量の速さを比べる問題を解き、グループで速さを比べました。次に3量の速さを比べる問題(トナカイ秒速22m、世界最速のエレベーター分速1260m、ロードレーサー時速72km)を自力解決、ペアで話し合い、全体で考えを共有するという流れで授業が進みました。
授業後の集団による授業リフレクションでは、授業者の野村研究員より「いつもよりは静かだけど、よく頑張ったな」という印象が語られました。大勢の参観者に囲まれて子どもが緊張し、いつもよりは静かだったが、算数があまり得意ではない子どもたちも自信をもって解いている姿を見られたことが、この印象につながったそうです。その後は、参観者とともに、問題に取り組む個々の子どもの様子や、グループ内での話し合いの様子など、子どもの事実を丁寧に確かめていきました。野村研究員からは「気になっていた子どものところに全く行けなかったことが心残りだったが、その子も頑張っていたことを知ることができて良かった」と感想が聞かれ、今後の授業に向けては「今日の授業で、今自分が何を求めているのかということを、ちゃんと明確にしていかないと混乱する子どもがいることがわかったので、そこはよく考えて授業に臨まないといけない」など、明確な方針が述べられました。
第6回部会
日 時:11月25日(月)
場 所:六会小学校
内 容:教育実践臨床研修講座 授業研究セミナー
戦争が変えたもの 残したもの(小学校6年社会科:戦争と人々の暮らし)
授業者:江原 竜平 研究員
講 師:慶應義塾大学教授 鹿毛 雅治 氏
江原研究員は「子どもたちが資料を通して、戦争や平和に対する自分の思いや考えを深めていく姿が見たい」というねがいのもとに授業を行ってきました。本時では、日本の占領下におかれたグアムの人々の思いを考えさせるために、最初にチャモロダンスや、チャモロ人の言葉が紹介されました。そして、なぜチャモロ人の言葉の中に、日本語が入っているのか、体験談から読み取っていき、さらに占領下で起きた3つの出来事に触れた上で、「We can forgive,But we must never forget.許せても、決して忘れてはいけない」の言葉に、どんな意味がこめられているのかを、資料をもとに考えていきました。
授業後の集団による授業リフレクションの場では、授業者の江原研究員からは、「子どもたちがチャモロの人たちの気持ちを受け止めてくれたかな」という印象が語られました。子どもからの「よく日本人のことを受け入れてくれるよね」というつぶやきに驚かされたことなどが、この印象につながったそうです。この日は、多くの参観者がありましたが、「仲間と共に授業から学ぶ」というセミナーの主旨にそって、授業者と参観者が互いに見取った子どもの事実を交流することで、江原研究員によるチャモロダンスの実演や現地の人々の体験談の紹介が子どもたちを引きつけていく様子や、子どもなりにチャモロ人の思いを考えられていることなどを確かめることができました。また、今後に向けては、資料の精選や子ども同士で考えを交流していくことの大事さについても話題にすることができました。
第5回部会
日 時:10月2日(水)
場 所:大庭中学校
内 容:教育実践臨床研修講座 授業研究セミナー
試行錯誤の先にある本当の理解(中学校3年数学科:関数)
授業者:諸星 紫織 研究員
講 師:慶應義塾大学教授 鹿毛 雅治 氏
諸星研究員は「生徒が問題を解決しようと、試行錯誤する姿が見たい」というねがいをもち、その実現のために授業改善に取り組んできました。
とりわけ、「隣の席で相談しやすいように机をつけること」「普段発言の少ない生徒を指名すること」「生徒が前に出て、自分の考えを説明してもらうこと」「周りと話し合う活動を入れること」などは、授業者も生徒も最初は戸惑いがありましたが、今回はそうした授業改善の努力が確実に実を結び始めていることを確かめることができました。
授業後の集団による授業リフレクションでは、授業者の諸星研究員から「考えようとしているな」という授業の印象が語られました。各自で考える姿があったことや、どの生徒も課題に取り組んでいたことなどが、この印象につながったようです。
そして、参観者とともに子どもの事実を丁寧に出し合い、確かめていくと、しっかりと問題の意味を理解している子や、一生懸命に考えている子がいる一方で、何を求めているのかがわからない子がいたことも分かりました。
また、授業者からは「色々な考えや道筋があることに気づいて欲しかった」という思いも聞かれました。そこで次時に向けては、「もう一度子どもたちに自分の考えを説明してもらい、全体の場で丁寧に分かち合っていきたい」という方針が語れました。
第4回部会
日 時:9月12日(木)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:諸星研究員の授業研究セミナーに向けての指導案検討
この日の部会では、10月2日に中学校3年数学科で授業研究セミナーを予定している諸星研究員の指導案検討を中心に行いました。諸星研究員は「生徒が自ら体験してきたことや、日常生活の中で積み上げてきたこと、数学の授業や他教科の中で学んできたこと等を使って、課題を解決しようと試行錯誤する姿が見たい」ということを大切に実践を模索してきました。今回の「関数」の単元では「自ら疑問をもち」、「自ら考える」そして、話し合うことでさらに「理解を深めようとする」そんな生徒の姿を見たいという観点から、授業検討を行いました。現役研究員だけでなく、研究員OBも集まり議論を行いました。
第3回部会
日 時:6月25日(火)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:この日は、講師の鹿毛先生をお迎えし、午前は飯島先生(村岡小1年)の算数の授業参観、午後は江原先生(六会小6年)の社会の授業参観と授業リフレクションを行いました。その後センターに戻って、すぐに飯島先生の授業リフレクションをし、部会が始まるという、かなり忙しいスケジュールでした。
研究員だけでなく、県教連の発表要旨の原稿を作成するため、また夏の研修講座の講座の準備のために研究員OBが集まり、賑やかな部会となりました。
部会では、各研究員の経過報告を受け、今後に向けての検討を行いました。
飯島研究員の授業(算数)
江原研究員の授業(社会)
第2回部会
日 時:5月28日(火)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:この日は、部会に先立って、2校時に諸星研究員の授業を、5校時に江原研究員の授業を、
慶應義塾大学の鹿毛先生と担当者らで参観し、授業後すぐに授業リフレクションを行いました。
諸星研究員
江原研究員
研究部会では、野村研究員・飯島研究員の経過報告を受け、今後に向けて検討を行いました。
また、これと並行して研究員OBを中心に、夏の教育実践臨床研修講座や県教連研究発表大会に向けて、検討が行われました。
第1回部会
日 時:4月18日(木)
場 所:教育文化センター 教育メディア資料室
内 容:辞令交付等
平成31年度の教育実践臨床研究部会は新しく1名の研究員が加わり、5名の研究員でスタートしました。
今年は部会の前身である教育メディア研究部会の発足から数えて、31年目となります。研究のさらなる深化と発展を目指して、今年度も「見えることからの授業の再構築」を研究テーマに、次のことを重視して研究に取り組んでいきたいと考えています。
①教育実践臨床研究の持続と発展のための、研究員による授業実践研究の地道な積み重ね
②教員の世代交代を視野に入れた「学ぶこと・教えること」の本質のたゆまぬ研究
③教育実践臨床研究のさらなる普及拡大
研究員辞令交付式の後、野村研究員による新研究員のためのオリエンテーションが行われ、さらに今年度授業実践研究を行う、野村研究員(小6/算数)、飯島研究員(小1/算数)、江原研究員(小6/社会)、諸星研究員(中3/数学)から「この1年間どんなねがいをもって取り組んでいきたいか」について所信表明が行われました。